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【キッチンカーの開業に必要な資格や免許とは】移動販売の食品衛生責任者など

1tトラックのキッチンカー。普通免許で運転できます。

キッチンカー・移動販売で開業するにはどのような免許や資格、許可が必要になってくるのでしょうか。

自動車免許や保健所の営業許可など、キッチンカーで開業・起業する上では必ず取得しないといけません。キッチンカーでの開業を検討中であれば、漏れがないようにきちんと準備をしていきましょう。

今回はキッチンカーの開業に必要な運転免許、食品衛生責任者、保健所の営業許可取得について紹介をしていきます。

目次

キッチンカー・移動販売で必要な運転免許証は

▸キッチンカーの運転は普通免許でOK

キッチンカー・移動販売では、軽バン・軽トラック・普通車・大型トラック・牽引車など様々な車両がベース車として使用されています。

キッチンカーを運転するためにはキッチンカー独自の免許というのはありませんので、基本的には普通免許をお持ちであればキッチンカー・移動販売の開業は可能です。

ただキッチンカーの場合は軽トラックなどがベース車として使用されていることも多いので、マニュアル車(MT)かオートマ車(AT)なのかは購入時にきちんと確認をしましょう。

また免許を取得した時期によって普通免許で運転ができる車の種類も違ってきます。同じ普通免許でもきちんと免許証を確認することが必要です。

▸免許の取得日でキッチンカーの大きさもチェックしよう

普通免許は取得日により運転できる車両範囲が違ってきますので、注意する必要があります。

平成19年6月1日までに普通免許を取得している場合

普通免許では、車両総重量8トン未満、最大積載量5トン未満の「普通自動車」を運転することができました。

平成19年6月2日~平成29年3月11日のあいだで普通免許を取得している場合(中型免許制度の導入)

普通免許では、車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満の「普通自動車」を運転することができました。

※平成19年6月1日以前に普通免許を取得している場合は、自動的に「8トン限定中型免許」に移行

平成29年3月12日以降に普通免許を取得した場合(準中型免許制度の導入)

普通免許では、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満の「普通自動車」を運転することができます。

※平成19年6月2日から平成29年3月11日までに普通免許を取得している場合は、自動的に「5トン限定準中型免許」に移行

車両総重量とは車両重量に加え、乗車定員全員が乗った状態、さらに最大積載量を積んだ状態での重さのことをいいます。

トラックなどの車両総重量の計算式は下記になります。

車両総重量=車両重量+(乗車定員×55kg)+最大積載量

最大積載量の計算式は下記となります。

車両総重量-(車両重量+乗車定員×55kg)=最大積載量

以上のように免許の取得日によって普通免許の運転可能な車両には違いがあります。

例えばキッチンカーでも使われる2トントラックは、車両総重量が5トン未満で最大積載量が2トン以上3トン未満のトラックをいいますので、平成29年3月11日以前に免許を取得の場合には、そのまま普通免許で運転が可能ですが、平成29年3月12日以降に免許を取得の場合は、準中型免許が必要ということになります。

キッチンカー製作時には、大きなキッチンカーがいいのであれば免許証の取得時期もきちんとチェックしているといいでしょう。

▸牽引タイプのキッチンカーの場合の免許は

牽引タイプのキッチンカーの場合の免許について、750kg以下の車両を牽引する場合の牽引免許は不要ですので、普通免許で牽引が可能となります。

車両総重量750kgを超える車を牽引する場合は牽引免許が必要になります。

牽引タイプのキッチンカーを製作する場合は、車両総重量をきちんと確認しましょう。

キッチンカーには食品衛生責任者の設置が必要

▸許可や届出対象となる全ての施設に食品衛生責任者の設置義務が

平成30年6月13日に食品衛生法等の一部を改正する法律が公布され、令和3年6月1日からは原則として、許可や届出対象となる全ての施設に食品衛生責任者を設置することが必要となりました。

キッチンカーの場合は1台につき食品衛生責任者を1名設置する必要があります。

食品衛生責任者は、HACCPに沿った衛生管理などを行う食品衛生上の管理運営にあたらなければなりません。

また、営業の施設(キッチンカー)の公衆衛生上必要な措置の遵守のために、必要な注意を行うとともに、営業者に対し必要な意見が述べるよう努めることが定められています。

▸食品衛生責任者を設置しなくてよい場合

原則として、許可や届出対象となる全ての施設に食品衛生責任者を設置する必要があります。

ただし、公衆衛生に与える影響が少ない営業として規定されている次の場合は、営業の届出は不要となり、食品衛生責任者を設置する必要はありません。

・食品又は添加物の輸入業

・食品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(ただし、冷凍・冷蔵倉庫業を除く)

・常温で長期間保存しても食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業

・器具容器包装の製造業

・器具容器包装の輸入又は販売業

キッチンカーの場合は、車両内で調理を行いますので、上記のような食品衛生責任者の設置不要とはなりません。

必ずキッチンカー1台に1名の食品衛生責任者の設置が必要となります。

▸食品衛生責任者になるには養成講習会を受講する

食品衛生責任者になるためには、計6時間の養成講習会を受講しなくてはなりません。

「食品衛生学」(2.5時間)

主要な食中毒、健康被害及び食品事故並びにその原因

食中毒等の発生を防止するための基本的な対応など

「食品衛生法」(3時間)

食品衛生法の全体像

自主的な衛生管理に関すること

自主回収報告制度に関すること

営業規制に関すること(許可、届出、施設基準)など

「公衆衛生学」(0.5時間)

環境衛生

労働衛生など

養成講習会は各都道府県で受講が可能ですが、1,2か月前には定員が満席になることも多くあります。

また地域によっては該当エリアでの講習会が毎月開催されていないところもありますので、移動販売・キッチンカーの開業を検討中の方は早めに予定を組んでおきましょう。

▸食品衛生責任者の更新期間や講習会の受講費用

食品衛生責任者には期限がありませんので更新は不要になります。

しかし食品衛生責任者は実務講習会を定期的に受講し、新しい知見の習得に努め、衛生管理に当たることが定められています。

今回の改正・食品衛生法の完全施行のように、HACCPに沿った衛生管理の制度化など実務講習会を受講することによって、より詳しく知識を得ることが可能になります。

養成講習会の受講費用については、10,000円程度となっています。

ちなみに現在では、東京は12,000円、神奈川は11,000円、大阪は10,500円、広島は7,600円、福岡県は10,000円となっています。

都道府県によって金額に違いはありますので、予約時に確認をしておつりがないように持っていきましょう。

▸講習会を受けなくても食品衛生責任者になれる要資格は

養成講習会を受講しなくても次の資格を持っている方は、食品衛生責任者になることができます。

・調理師

・製菓衛生士

・栄養士

・船舶料理士

・と畜場法に規定する衛生管理責任者

・と畜場法に規定する作業衛生責任者

・食鳥処理衛生管理者

・食品衛生管理者又は食品衛生監視員の資格要件を満たす者

すでに飲食店で働き調理師免許などを取得済であれば養成講習会の受講は不要になりますので覚えておきましょう。

保健所で飲食店営業の許可を取得する

▸キッチンカーでは販売地域ごとに営業許可を取得する

キッチンカーで販売をする場合には、出店する地域ごとに保健所で営業許可の取得が必要になります。

例えば大阪府全域でキッチンカー・移動販売で出店しようとすると何ヵ所で営業許可を取得する必要があるのでしょうか。

大阪市・堺市・東大阪市・豊中市・高槻市・枚方市・寝屋川市・八尾市・吹田市・その他大阪府

合計で10カ所にもなります。

飲食店営業の許可申請料は都道府県の保健所によって違いがありますが、16,000円~19,000円ほど必要になってきます。

大阪府全域で飲食店営業の営業許可を取得するには、合計160,000円程の費用がかかることになります。

(※令和4年1月1日より大阪府では、大阪府内のいずれかの自治体で令和3年6月1日以降に営業許可を取得したものについて、キッチンカーの営業区域が大阪府内全域に拡大されました。)

例えば東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県でキッチンカー・移動販売で出店しようとすると何ヵ所で営業許可を取得する必要があるのでしょうか。

東京都(都内一円で取得)

神奈川県(県内一円で取得)

千葉県(県内一円で取得)

埼玉県:さいたま市・川越市・川口市・越谷市・その他埼玉県

合計で8カ所になります。

飲食店営業の許可申請料は都道府県の保健所によって違いがありますが、16,000円~19,000円ほど必要になってきます。

東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県で飲食店営業の営業許可を取得するには、合計128,000円程の費用がかかることになります。

地域によって県内一円とまとめられている自治体もあれば、細かく分かれているところもあります。

出店するだろうと思って営業許可を取得しても5年毎に更新がありますので、営業許可は必ず出店する場所に限って取得するようにしましょう。

キッチンカーの営業許可取得についてはこちらの記事も参考にしてください。

▸販売メニューによって違う!営業許可に必要なキッチンカー

キッチンカー・移動販売では販売メニューによってキッチンカーに必要な設備も変わってきます。

改正・食品衛生法の完全施行後は、都道府県ごとに異なる基準で運用されていましたキッチンカーの給排水設備のタンク容量も、約40リットル、約80リットル、約200リットルの3種類に統一されました。
そして、この給排水設備のタンクの容量によって、キッチンカーで認められる調理工程や取扱品目、品目数が異なることになります。

キッチンカーの給排水タンク容量が約40リットルの場合、可能な調理工程としては簡易な調理のみ(焼く、揚げる、蒸す等)となります。

例としてはフライドポテト、唐揚げ、中華まん、かき氷等になります。

フライドポテト、唐揚げは「市販品又は一次加工所等で調製した材料を揚げる」という調理になります。

中華まんは「市販品又は一次加工所等で調製した材料を蒸す」となり、かき氷は「氷雪製造業で製造された氷柱(板氷、ロック氷等)を削る」となります。

キッチンカーの給排水タンク容量が約80リットルの場合、可能な調理工程としては大量の水を要しない2工程程度までの簡易な調理となります。

例としてはクレープ、冷やしうどん等になります。

クレープ、冷やしうどんは「加熱済み食品の調理加工」という内容になります。

フルーツ缶のトッピングなどもここに該当します。

キッチンカーの給排水タンク容量が約200リットルの場合、大量の水を要する調理や、複数の工程からなる調理が可能になります。

刺身や生野菜、生クリーム(現地でホイップしたもの)も提供は可能です。また放冷工程のある弁当類の調製も可能となります。

販売メニューに合わせた給排水設備が必要になってきます。

200リットルの給排水タンクが必要な場合は、軽自動車ベースのキッチンカーでは設備の搭載が難しくなりますので、販売メニューかキッチンカーかのどちらかを優先する必要が出てきます。

▸営業許可申請でチェックされるのは

運転席と調理場が区切られているか、シンクの数(手洗設備・洗浄設備)、給排水タンクの容量、清掃等が用意にできる構造(材質)などがあります。

運転席と調理場の区切り

運転席と調理場の区切りは軽トラックなどトラックタイプのキッチンカーの場合はそもそも分かれていますが、軽バンを使用したキッチンカーの場合は、きちんと区切る必要がありますので注意しましょう。

カーテンなどは不可で掃除のしやすい素材を使用し、隙間テープなども使って壁などに隙間ができないようにします。

シンクの数

シンクの数は2つ以上。

1つは手洗設備で洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造「非接触水栓」にします。

洗浄設備は使用目的に応じた大きさ及び数が必要になりますが、基本は1つ以上となります。

給排水タンクの容量

給排水のタンク容量は前述の通り、どんなメニューにするのかで変わってきます。必要な給排水のタンク容量を準備します。

40リットル、80リットル、200リットルの給排水のタンクが必要になります。

床面や内壁の構造

清掃等が用意にできる構造(材質)は床面や内壁、天井の素材になります。

床面と内壁は耐水性の清掃が容易に行うことができる構造にします。

その他設備

その他換気設備(換気扇)や汚染等防止(昆虫等の侵入を防ぐ)などの設備、冷蔵設備(冷蔵庫やクーラーボックス)、蓋つきのごみ箱にアルコールスプレーなども必要になります。

自治体によって冷蔵庫が必要なのか、クーラーボックスでいいのかなどは基準が統一された現在でも違いがあるみたいです。

営業許可を申請前に保健所に確認をしてください。

▸営業許可取得の保健所での流れについて

営業許可取得の保健所での流れについて説明します。

1. 保健所に行く前に許可申請書類の準備

申請に必要な書類など(下記)を準備します。(法人の場合は登記簿謄本が必要だったり、水道水以外を使用する場合は水質検査成績表が必要になったりします)

・営業許可申請書(当日に保健所でも準備されています。)

・食品衛生責任者の資格を証するもの

・キッチンカーの平面図

・申請手数料(自治体により価格は異なります)

・自動車検査証など

また申請当日にキッチンカー・移動販売車の施設検査もしてくれますので、キッチンカーで保健所に行きます。(自治体によっては担当の不在など当日の検査が出来ない場合もありますので、事前に自治体に連絡を入れておくほうがいいです)

2. 保健所に許可申請書類を提出

準備した許可申請書類を提出します。記載方法がわからない箇所は当日でも教えて貰えます。

3. キッチンカー・移動販売車の施設検査

許可申請書類を確認後、保健所の監視員がキッチンカーの設備の検査を実施します。

設備や器具が基準を満たしていると営業許可が下りますが、基準を満たしていない場合は、後日指摘箇所を改善して再度検査となります。

4. 営業許可証の交付

キッチンカーの検査完了後、営業許可証の交付日が指示されます。

1週間から2週間程度で交付させることがほとんどです。交付日に受取者の認印を持参して営業許可証を受け取ります。

▸営業許可の更新期間や取得費用は

営業許可の有効期限は5年間です。

5年更新となりますが、2021年6月1日に改正・食品衛生法が完全施行となりましたので、2021年6月1日以前に営業許可を取得している方は、更新時には新たな基準に設備を合わせて営業許可を取得するという形になると思われます。

出店地域を増やす為には更新ではなく、新規で営業許可を取得することになるので、新たな設備基準にはどっちにしても合わさないとダメだと思います。

営業許可には取得費用がかかります。

申請手数料は都道府県によって異なりますが、1つの許可で16,000円~19,000円程度になります。

菓子製造業や喫茶店営業が飲食店営業に1本化されましたので、喫茶店営業の取得で開業できたメニューの方にとっては少しだけ申請手数料は高くなることになります。

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キッチンカー・移動販売についてその他の記事も紹介します。

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